
1947年愛知県名古屋市生まれの清水義範さん。
愛知教育大学を卒業後、
同人誌に載った小説が半村良さんの目にとまり、その勧めで上京。
初期はSFを中心に多数のジュブナイル作品を発表していますが、
私はその辺りの著作はほとんど読んでおりません。
(文庫本が入手困難なんですぅ〜。)
1988年「国語入試問題必勝法」で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。
1989年には「金鯱の夢」、1990年「虚構市立不条理中学校」、
1992年「柏木誠治の生活」には直木賞候補作となり、
一度も受賞していないというのが、本当に解せないっ!!!
清水義範さんといえば、パスティーシュの名手と言われておりますが、
(※パスティーシュ ある作家や作品の文体を模倣して作品を作ること。)
それは清水千手観音の手のひとつに過ぎません。
「芸達者」という言葉は清水義範さんのためにあると言っても過言ではありません。
子供の頃の読書感想文のせいで、すっかり読書嫌いだった私は、
めくるめく清水ワールドのおかげで、本を読む習慣が身に付きました。
清水義範さんはパスティーシュだけじゃないよっと書きつつ、やっぱり第1位は、
【国語入試問題必勝法】です。

短編集ですが、タイトルにもなっている「国語入試問題必勝法」はすごいっ!!
国語の苦手な大学受験生に、家庭教師が入試のための必勝法を伝授する・・・。
大学入試の国語問題をパロディー化し、
国語教育と受験技術を鋭く諷刺している作品です。
本当に通用するんじゃないか?と思ってしまうような、
「正解を得るためのテクニック」が紹介されていて、
主人公同様、入試における現代国語にコンプレックスを持ち続けた私は、
これを読んでひじょぉ〜にすっきり爽快でした。
これを読めば、現代国語の出来不出来と本当の国語力とは、
関係がないということが分かるからです。
しかもラストは大爆笑。
ながぁ〜い長文を、指定の文字数に要約せよってところなんて、
冗談抜きで、つばを飛ばして吹き出しちゃいます。
収録されている他の6作品も、バラエティ豊かです。
清水義範さんの入門書として最適の一冊ではないでしょうか?
(事実、私もこれで清水義範さんを知りました。)
これだけでも、是非、皆さん読んでくださいっという超お勧め作品です。
他にもお勧め「清水義範」![]()
シナプスの入江

ほぉ〜ら、パスティーシュの名手ですが、
お勧めにパスティーシュ作品以外が登場です!!
記憶は「わたし」の存在そのものだとすれば、
事実と違う「誤記憶」で重ねられた「わたし」とは何者なのか?
自分の存在が不安になる、ホラー小説です。
シナプスというのは、脳細胞を繋いでいる回路のことで、
「人の記憶」をキーワードにして、「存在」というものを問いかけている小説です。
皆さんは、自分の存在を立証することができますか?
自分は自分であると確信できる根拠というのは記憶にしかないのですよぉ〜
そしてその記憶は曖昧になっていくのですよぉ〜
読み終わった後、果たして私は存在しているのだろうかと、
背中がヒヤりとします。
バールのようなもの

短編集ですが、タイトルにもなっている「バールのようなもの」が最高です!
「入口のシャッターが「バールのようなもの」でこじ開けられた形跡があり、
犯人はここから侵入したものとみられています。」
というニュース、聞いたことがあるはずです。
「バールのようなもの」といういう以上は、「バール」ではありません。
ではニュースのアナウンサーが言う「バールのようなもの」とは何なのか!
何ともアホらしい展開の話です。
そんな馬鹿なぁ〜という結末まで、一気にお楽しみください。
やっとかめ探偵団

これはシリーズ化しているので、是非前編お楽しみください。
全編名古屋弁という探偵小説、
しかもその探偵は駄菓子屋の74歳になるおばあちゃんというのだからびっくり!
その駄菓子屋へご近所のおばあちゃん達が集まって、
事件を解決していくというシチュエーションだけでも楽しめます。
清水義範さんといえば、名古屋モノでも有名ですが、
その中でもっとも「名古屋」が生きているのは、この作品じゃないでしょうか?
名古屋弁を筆頭に、名古屋の文化も同時に楽しめてしまう、
そして名古屋にはなぁ〜んも縁のない私が、
気が付けば名古屋を愛してしまっている、そんな愛すべき作品です。
1年に一度は読んでしまうノルウェイの森