
1951年に東京に生まれた浅田次郎さん。
「とられてたまるか!」で作家デビューした浅田次郎さんは、
1995年に「地下鉄に乗って」で第16回吉川英治文学新人賞を受賞し、
1997年には「鉄道員」で第117回直木賞を受賞しています。
私としては「蒼穹の昴」が直木賞受賞にいたらなかったことがツラい・・・
ということでお勧めの一作は【蒼穹の昴】です。




文庫版だと、4冊もある超大作ですが、
一気に読めてしまい、ああ読んでよかったぁ〜と思わせる作品です。
中国最後の王朝・清朝末期近くが舞台。
糞拾いで生活する極貧の少年・春児と
裕福な家の次男ではあるが、
家族愛に恵まれずに育った春児の兄貴分である文秀を中心に、
物語は進んでいきます。
二人はそれぞれ村に住む占い師・白太太から途方もない予言を与えられ、
特に、このままではのたれ死にするしかないような春児にとっては、
この予言は生きる希望となります。
しかしながら、この予言の通りに人生を歩むことの、なんと辛いことか・・・
科挙や宦官、清朝の政治についても細かく書かれてあって、
普通なら、背景の難解さに投げ出してしまうのですが、
その世界がすいすいと頭に入ってきます。
人間関係も複雑で、登場人物がかなり多いにもかかわらず、
一人ひとりがしっかり描かれているので、
誰だかわからなくなることなどなく、
むしろその人間関係の裏に潜む、それぞれの感情に思いを馳せてしまいます。
西太后というと、映画「西太后」の印象があまりにも強く、
残虐非道で冷酷な悪女というイメージが強いですが、
鬼女になるにはそれなりの理由があったはずで、
鬼女と呼ばれた西太后の悲しい一面もこの物語では描かれています。
とにかく、圧巻っ!!
ラストは涙せずに読むことはできませんでした。
他にもお勧め「浅田次郎」![]()
王妃の館


パリ随一の格式を誇る高級ホテルになっているこの館が、
経営難から初めて日本人ツアー客を受け入れることに。
客もワケありなら、旅行代理店もまたワケあり。
客室を昼と夜でダブルブッキングするという、綱渡りのような二つのツアーが始まります・・・。
奇想天外なシチュエーションにグイグイ引き込まれて、
あっという間に読み終えてしまいます。
大団円ってのはこれを指すんだよねーっと言う典型的なハッピー・エンドで、
ちょっと唖然としちゃう部分がありますが、
「清く正しく生きていれば、きっといいことあるよ」と言う感じで、
爽やかな気持ちでいっぱいになりました。
天国までの百マイル

女手ひとつで4人の子どもを育てた母。
その母を救うために、バブルの崩壊で何もかも失った男が、100マイルの道のりを走る…。
「鉄道員」同様、映画化された作品なのでご存じの方も多いと思います。
(私は映画の方は見ていませんが・・・)
「泣かせ」るための展開と思う方もいると思いますが、
私はこの小説を読んで大いに泣ける自分でいたいと思いました。
人の温かさを存分に感じることのできる作品です。
鉄道員(ぽっぽや)

北の果ての小さな終着駅で、鉄道員(ぽっぽや)一筋の人生を送ってきた男。
一人娘を亡くした日も妻を亡くした日も駅に立ち続けた。
孤独な彼の人生に訪れたやさしい奇蹟の物語…。
子を亡くし妻を亡くし、生涯の仕事を亡くす主人公の無念さが、最後に救われます。
決して言葉にはできない悲しみが、救いによって浄化されることを体感させられました。
さすが「直木賞」という作品で、
同じく収録されている短篇作品、どれも甲乙つけ難い良い作品です。
「角筈にて」「うらぼんえ」は何度読んでも泣いてしまいます。
時間があるときにじっくりと読んでほしい本です。
決して電車内で読んではいけませんっ!
1年に一度は読んでしまうノルウェイの森